私は3人の子供を出産していますが、3人とも35歳以上で出産した、いわゆる高齢出産でした。
それぞれ同じ病院で出産をしたのですが、主治医の先生には毎回妊娠12週頃に羊水検査を勧められていました。
羊水検(ようすいけんさ)とは出生前診断の一種。妊娠子宮に長い注射針に似た針を刺して羊水を吸引すること(羊水穿刺)によって得られた羊水中の物質や羊水中の胎児細胞をもとに、染色体や遺伝子異常の有無を調べる。一般に妊娠16週以降の時期に実施される。羊水検査で診断できるのは染色体や遺伝子など特定の異常に限られており、全ての異常が発見できる訳ではない。
羊水検査では、針を子宮に刺して羊水を吸引するので、流産や、羊水流失のリスクも、少なからずあります。
なぜ高齢出産になると、羊水検査を勧められることが増えるかというと、それには理由があります。
高齢出産では多くのリスクが危惧されるからです。
妊娠中に起こる産科合併症のほとんどが年齢依存性に上昇し、高齢妊娠だと妊娠初期の流産率が上昇する。これには加齢による卵巣機能や子宮機能の低下とダウン症候群を始めとした染色体異常の頻度が増すことが関与する。
高齢出産で3人を出産した経験から、羊水検査に関する話を幾度となく耳にする機会がありました。
私が実際に医療関係者の方から聞いた話と、私自身が実際のところどうしたのかについて書きます。
これから紹介する内容は、それぞれのいち考え方ですが、
羊水検査について考えている方の、何らかの参考になればと思います。
「羊水検査をおすすめします。」産科の先生の話
私の3回の妊娠出産とも、担当は同じ先生でした。
35歳の妊娠の時
「念のため羊水検査はうけておきますか?」
39歳の妊娠の時
「40歳以上の妊婦さんには必ず受けてもらっているのです。年齢的に近いから、受けることを考えてみてください。」
42歳の妊娠の時
「羊水検査はどうされますか?」
時を変えて、3回以上聞かれました。
- 出産の時のリスクの心配。
- 医療設備や体制が整った病院で出産した方がいい、妊婦の見極め。
先生は、とにかく羊水検査押しでした。
先生の医師としての責任や立場を考えると、分かる気がしました。
「私なら必ず受ける。」スクリーニング検査の技師さんの話
私が3人を出産した病院では、妊娠中期と妊娠後期に、スクリーニング検査というものをしていて、検査技師の方が、超音波で胎児の精密検査をしてくれました。
主に、胎児の四肢を確認したり、心臓の健康状態を確認していました。
私を検査してくれた検査技師さんは女性でした。
「私はまだ一度も出産をしたことがないけど・・・。」
「もしも自分が妊娠をしたら、絶対に羊水検査はしたい!」
と、彼女は言っていました。
「情報を集めて、できる限りの準備をしておきたいから。」
「知るということは怖いけど、何も知らないでいる怖さよりは、知る怖さを取る!」
「そうでないと、逆に不安で妊娠期間を耐えられないと思う・・・。」
いつか知るなら、できるだけ早い方がいいのかな。
何も知らずに幸せに浸る期間は尊いと思います。だけど、・・・現実と向き合うのも、大切ですよね。
「自分がこういう仕事をしているから、妊娠をしたら、自分のおなかの中の子供をエコーで検査しまくっていると思う!」
とも言っていました。
職業柄、いろいろな厳しい現実を知っているから、なおさら慎重になるのかもしれませんね。
胎児ドックの先生の話
3人目の妊娠後期の頃、個人病院の担当の先生の要望で、胎児ドッグを受けに行きました。
胎児ドッグの先生は、
「羊水検査をしないのは怠慢。」
「胎児のリスクをあらかじめ知っておくことは、親の義務。」
「予め把握しておくことで、守れる命がある。」
と話されていました。
とあるベテラン助産師さんの話
「(羊水検査のこと)それなんか意味あるの?」
と言っていました。
「生まれた時に何もなく五体満足だったとしても、生きていくうちに何があるかわからない。何が幸せかなんてどうしたら測れるの。」
私はこの話を、病院で聞いたわけではなくて、
彼女の個人的な意見として聞きました。
私は羊水検査をしたのか
結局、羊水検査は一度もしませんでした。
- 羊水検査をしたところで何も変わらない。
- 検査が原因で流産をしたくない。
私の場合、
「心の底から望んだ妊娠で、たとえ低い可能性でも、 流産のリスクを背負いたくない。」
というのが一番の理由でした。
2人目の子は染色体異常があり、心臓疾患を持って生まれました。
ほおっておくと、1年以上生きられない病気で、迷うことなく手術に踏み切りました。
娘は手術中に大量出血をし、肺に大きな負担がかかり、その後人工心肺装置を外せない状態になりました。
手術から1か月後、呼吸不全で息を引き取りました。
2人目の子のいきさつがあり、
3人目の子の妊娠中は、常に不安や心配が付きまといました。
「同じようなことが起きたら、どうしよう。」
・・・恐怖です。
子供の愛おしさと、 子供を失う喪失感。
万が一にも流産をしたくない。
様々なことを天秤にかけて、羊水検査を受けないことに決めました。
リスクのある子どもを育てることに、
自信があるわけでも、怖くないわけでもないのです。
ただ・・・、 今は、心配するよりも、
おなかの中にいる子供を愛することに、集中しようと、決めました。
さいごに
羊水検査を、受けるか、受けないかは、
出産する方や、赤ちゃんを育てていく方が、決めることだと思います。
赤ちゃんと、ご家族。
一人一人にとって、温かい未来が待っていますように。