前回、羊水検査に関する様々な意見について書いたのですが、今回は、その時のスクリーニングの検査技師さんから聞いた話を書きます。
私が通っていた病院では、
妊娠中期と、妊娠後期に、胎児の四肢の健康や、主に心臓の状態を確認するために行われていた超音波の精密検査のことを、スクリーニング検査と呼んでいました。
検査技師さん曰く、
「赤ちゃんって、自分の悪いところを隠そうとするんだよね。」
私。「え?!」
「・・・て、思うでしょ?だけど本当にそういう傾向があるんですよ。」
「だから素直に見せてくれないと、余計に見なきゃ、確認しなきゃ。って、なるんですよね。」
例えば、心臓を見ようとする場合、胎児がママのお腹に背中を向けてしまうと、胎児の心臓は、胎児の背骨等に隠れて、非常に見えにくくなってしまうのです。
何も問題がない子は、パッと見せて、5分もしないうちに、元気ね!問題なし!ハイ終わり!となるのだけど、
何かある子に限って、リスクのある部分を、中々見せてくれないことがあるそうです。
科学的根拠はない話ですが、私をいつも検査してくれていた検査技師さんは、本気でそのように考えている様子でした。
私の2人目の子は心臓に疾患を持っていました。
その子はすぐに心臓を見せてくれたのでしょうか?
心臓に疾患が無かった、3人目の子は、
すぐに心臓を見せてくれたのでしょうか?
私の体験談と絡めながら、リスクを隠す胎児の心理について、考えました。
2人目の胎児の隠し事
2人目の子の隠し事は、心疾患でした。
染色体異常があり、少し特殊な心疾患を持って生まれてきました。
NT(首の後ろのむくみ)はすっきり
ちなみに、妊娠11週頃に、胎児の首の後ろのむくみを見て、染色体異常の可能性を見ることがありますが、わが家の2人目の子は、先生に、
「首の後ろはすっきりとしていますね。」
と言われていました。
逆に、11週の頃に、むくみが大きくても、何事もなく生まれてくる子もいるようですね。
個人病院で繰り返したスクリーニング検査
10回以上繰り返したスクリーニング検査
私が妊娠している時に通っていた病院では、本来ならば、妊娠中期と妊娠後期に1回ずつ、計2回、スクリーニング検査を受けるのですが、私の場合は、10回以上は受けたような気がします。
というのも、胎児が、中々心臓を見せてくれなかったからです。
いざスクリーニング検査の時間になると、いつもママのお腹側に背中を向けて、じっとして、心臓を見えにくくしてしまうのです。
スクリーニング検査の時間を通常の倍の時間、確保しても同じでした。
私が横向きに寝て体制を変えても、今度はそちら側に背中を向ける。
反対側を向いて寝たら、今度はそちら側に背中を向ける。
・・・そのような感じです。
体勢を変えることを胎児にお願いしてみる
「赤ちゃんにお願いしてみて。お願いすると、動いてくれることがあるんですよ。」
「ほんとですか~?」
と言いながらも、疑いの心を振り切って、
「ママ、無事に出産するために、赤ちゃんの健康を確認する必要があるの、ママに心臓を見せて~。」
と心を籠めて、口に出してお願いしてみました。
「ちょっと体制変えて〜。コロンして。」
と、言い方を変えてみたりもしました。
・・・結果、
見せてはもらえませんでした。
繰り返したスクリーニング検査は、胎児と、検査技師さんの根比べのようでした。
「何かおかしい・・・。」グレーの心臓
何度もスクリーニング検査をした結果、一度もスッキリと心臓を見せてもらえることはありませんでしたが、
胎児の心臓のチラ見せの結果、
検査技師さんは、
「なんか怪しい・・・、なんかおかしい・・・。」
「だけど確信が持てない。私は何かあると思うよ。」
「なければもちろんそれでいいのだけど・・・。あると思う。」
と言っていました。
「私の経験上、中々見せてくれない子って、隠している場所に、何かあったりするんだよね。」
「だから、どうしても見たいのだけど・・・。」
スクリーニング検査を終える時は、毎回名残惜しそうでした。
大きい病院でしたスクリーニング検査
太鼓判を押してもらえた検査
個人病院でスクリーニング検査をした結果、精密検査が必要とのことで、私は紹介状をもらい、大きな病院に、検査に行きました。
産科の先生や、小児科の先生が5人も集まってくれて、30分以上スクリーニング検査をしてくれました。
先生方は、最初から5人いたわけではなくて、
「ちょっと見て。」
で、最終的に5人も集まってくれていた感じです。
大きな病院のスクリーニング検査でも、
胎児はずっと背中を向けて、中々スッキリと心臓を見せてはくれませんでした。
血液の流れで、気になる点を指摘している先生が一人いましたが、
結果、先生方に、
「問題ないでしょう。」
「あったとしても、命に別状がない範囲ですよ。」
と明るく言ってもらえました。
私は内心、これでかなり安心しました。
個人病院で再検査
妊娠37週の正期産に入る前に、お産の兆候があったので、私は切迫早産で入院しました。
私が入院している期間に、検査技師さんが、再びやってきました。
「大丈夫だって、言われたって?」
「もう一度見せてもらえますか。」
彼女は、スクリーニング検査をしてくれました。
私は内心、
「え~?また?!大丈夫って言われたのに。」
と思いましたが、熱心に診察してくれることを嬉しくも感じました。
胎児はやはり、背中を向けて、心臓をすっきりと見せてはくれませんでした。
「私はやっぱり、怪しいと思う。」
と検査技師さんは最後に言い残して、去って行きました。
胸に霧がかかるような、不安が残りました。
出産してすぐにNICUへ
赤ちゃんは出産時に仮死状態で生まれてきて、蘇生してから、身体の酸素濃度を測ると、上半身と下半身の酸素濃度が違っていました。
下半身に血液を送る太い血管に問題があったからです。
赤ちゃんはすぐにNICUのある病院に搬送されました。
後程、NICUの先生から聞きました。
「本来なら、この手の病気は、容体が悪くなってから、何かおかしいと、運ばれてくることが多いんです。だから、スタートが遅れがちなんですが。」
「山田さんの赤ちゃんの場合、▢▢病院から、あらかじめこういう子が運ばれてくるかもしれないと、連絡をもらっていたんですよ。」
「だからすぐに対応できました。良かったです。」
それからいろいろありましたが、1ヶ月バースデーをお祝いしてしばらくしてから、娘は天に召されました。
娘のその後を電話連絡
私は妊娠期間にお世話になり、何度もスクリーニング検査をしてくれた病院に電話をしました。
娘の心臓が具体的にどのような状態であったのか。
どのような染色体の異常だったのか。
結果を伝えました。
生まれてからのことと、お腹の中にいる時のことが繋がってほしい、という思いがあったからです。
思うこと
なぜ胎児は、リスクを隠すのでしょうか。むしろ早く教えてくれれば、それなりの準備や対応が、早くできるかもしれないのに。
あっさりと分からないほうが、
周りの人々の学びになるからでしょうか。
・・・確かめようはありませんね。
一生懸命、心臓を見せまいと、背中を向けていた2人目のお腹の赤ちゃん。
寂しいような。
愛おしいような・・・。
赤ちゃんの背中を、包み込むように抱きしめることができたらいいのに・・・と、思いました。
3人目の胎児の隠し事
3人目の胎児は、ミステリアス。ないものをあるように見せているのか、それともあるのか、まだいろいろ謎なのですが、心臓は元気でした!
今現在わが家で一緒に暮らしている、次男です。
この子は、同じ月齢の子達よりも、ちょっと発達がゆっくりで、
2歳も半ばですが、未だに、赤ちゃんっぽいです。
それが可愛らしくもあるのですが・・・、親の立場からすると、心配なところも多々あります。
ほとんど風邪をひかなくて元気!
上の子の時は、3歳頃まで病気ばかりしていて、寒い時期に一度風邪をひいたら、ワンシーズンずっと治らないし、年に1回のペースで入院をし、病院ばかり行っていた記憶があるのですが・・・。
次男はとにかく元気!
風邪をひいてもすぐに治るし、発熱も、今までに1度だけ。
毎日毎日、変わらず元気な姿を見せてくれます。
そのような次男ですが、心臓には問題が無かったはずなのに、
スクリーニング検査では、中々心臓を見せてはくれなくて、手をこまねいたのでした。
個人病院で繰り返したスクリーニング検査
3人目の胎児も心臓を隠す
3人目の胎児も、2人目の子の再来?!というくらい、意固地に心臓を見せてはくれませんでした。
2人目の子のことがあり、
「次こそは~。」
と、先生方はずいぶん慎重になっているように見受けられました。
個人病院の変化
検査技師さんから聞いたのですが、わが家の2人目の子のことがあって以来、
先生と一緒に胎児の診断をテーマにした勉強会に行ったり、
あまり詳しくは書けませんが、いろいろと変化があったとのことでした。
リスクを抱えた子を少しでも多く救えるように、様々なことが強化されたらしく、具体的な話を聞きました。
先生方には、先生方の戦いがあるのだなあ・・・、と感じました。
いないいないをしたまま・・・
検査技師さんは、何回も熱心に、スクリーニング検査をしてくれました。
先生も見てくれようとしたのですが、
「見えるまで見れたらいいのですが・・・、僕は診察の関係で、じっくりと時間を取ることができないのです。」
とぼやくように言っていました。
結局、やはり心臓の健康状態をすっきりと確認することができなくて、
先生から言われて、胎児ドッグに行くことになりました。
「値段は安くはないのですが、しっかりと見てもらえるので。」
と。
胎児ドッグで一日かけてスクリーニング検査
一日がかりの検査
昼過ぎに行って、診察が終わったのは、夜の9時頃でした。
胎児が心臓を見せてくれるまで、インターバルを何回もおいて、診察をするのです。
胎児が体制を変えるのを促すために、散歩もしました。
私自身が何度も寝返りをうったりもしました。
心臓の健康を確認
胎児の心臓を、見たい角度から見ることができました!
太い血管がカーブしている部分に、少し気になる点があったので、専門医の先生に画像を送ってくれて、その場で確認をしてくれて、問題がないことがわかるまで、調べてくれました。
新たなる心配
胎児に見られる、ある障害の特徴のひとつを、指摘されました。
必ずではないけれど、そうする子が多いそうです。
今でも時折、その話が頭をよぎります。
思うこと
3人目の子の心臓は無事だったのに、どうしてすぐに見せてくれなかったのかな~と、思いました。
胎児は、お腹の中でたくさん動いて、体制をころころと変えるのですが、
スクリーニング検査になると、まるで2人目の子に習ったかのように、なぜかいつも同じポーズ。
ママのお腹に背中を向けて、動かなくなってしまう。
分からないことで右往左往しましたが、考える機会は、たくさん与えられました。
すぐに子供の健康が確認できていたら、考えないようなことばかりです。
2人目の子の時には、命や愛や、健康について。
3人目の子の時には、子供の発達のことを中心に、いろいろ。
分からない、ということには、きっと意味があるのでしょうね。葛藤や、学びだったり・・・。
ちなみに、手で隠したりして、中々顔を見せてくれない子や、性別を見せないように頑張る子もいるそうですよ。
照れ屋さんだから顔を中々見せてくれないとか?
胎児たちは、お腹の中にいる時から、個性を発揮しているのかもしれませんね。
さいごに
胎児は、大人よりもあの世とのパイプが太いから、
これからのことや、自分自身のことなど、
実は、たくさんのことを知っているのかもしれない、と思ったりします。
胎児がもたらす学びを、時には、じたばたしながら、しっかりと受け止めていきたいです。
数年前の話なので、多少記憶があやふやな面もありますが、私が実際に体験したことを元に、書きました♪